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目パチと口パク

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目パチと口パク

「目パチ口パク」は、アニメーション・ゲーム・アバター配信等でよく使われている手法です。

シンプルなアニメーションですが…キャラクターを拠り良く見せるには…と、先輩アニメーターさんから学んだ…生物学的( ! )な見地から指導された目パチと口パクの創作イメージを伝えたいと思います❤

目パチ

開いた目と閉じた目の中割りをして「中目(半目)」を制作します。

中目作画時の「注意点」を抑えておく事により、良い「目パチ」動画に仕上がりますよ。

「目」はキャラクターの「命」ともいうべき表現パーツなので、特に注意して制作しましょう!

注:ニュアンス(雰囲気)が崩れた動画は「R(リテイク=再制作)」となります(顔の動画は特に厳しいと思ってOKです)。

 

覚えておいてほしい!目パチの基本的な考え方

開いた目から閉じた目までは比較的遅い動きのイメージです。

続いて…閉じた目から開いた目へは、比較的速い動きのイメージです。

 

以下に動きのサンプル(GIF)を挙げてますので、理想的❤な目パチを創ってみてはいかがでしょうか?

良い目パチ 悪い目パチ

同じ目パチでも中目(半目)を単純に中割りしてしまうと、キャラクター印象がマイナスに見えてしまいます。

悪い目パチ

上瞼(まぶた)を真ん中に中割りをしている為、キャラクターの目が三白眼になっています。

古いアニメなどで良く見るタイプの目パチです。

否定はしませんが…現在のアニメの視聴だと
「キャラ崩れ」と捉えられるかも知れませんね💦

自身の動画研修中…先輩原画マンから沢山の指摘を受けた事で
(目パチ口パクを後輩の指導用に)纏めよう…と思い立ちました😅

当時は動画は「お任せ」の印象で「R(リテイク)」ではナイのですが
制作の会社に拠っては(注意、警告が入り)動画などの制作担当者から
外される事も多かったかと思いますね。

良い目パチ

「詰め」幅を調整して瞳(黒目)を閉じるアクションと同じ方向に動かすと、自然な印象に見えます。

アニメーター時代の先輩の指導で、自身の完成に近い動画制作の考え方です。

またアニメ原画制作での基本的な目パチの考え方を伝えますと…

眼は…閉じる時は「遅い」けれど、開く時は「早い」と考えると動きのイメージも良くなります。

比較

分かり易く、遅めの8コマでの開閉目パチにしています。(TVでは、もう少し早いイメージです💦

※目パチ(開く)の制作イメージで、⚠ポイントは瞳(瞳孔)の動きです。

×:悪い例
○:良い例

次は動きの実例(タイムシートでのアクション制作)

標準的な3コマで閉じて、3コマ中ナシ(中目ナシ)で開くイメージです。

標準的な3コマで閉じて、1コマの動きで中目→開目で開く、原画マンから指示の必要な動画イメージです。

サンプルよりもリアルさをイメージした映像向け

★動きを創るのがアニメーターのお仕事です。

視聴者さん(見ている)へ違和感を感じさせない、動画制作(アニメーション)をイメージしましょう。

中目・半目≠半分開いた目ではない

素人判断で中目・半目という言葉を、「半分開いた目」と認識・判断する…しているケースも多いと思います。

実際は「3分の2程開いた目」であることを覚えておきましょう。

アバターキャラ(3D、Live2D)の中目

最近は3Dアバター(ゲーム、Vtuber のガワ等)が多く出回っていますが、「悪い中目」になっている状態も見受けられます。

Brender を使った目パチ(5:00~から)
Live2Dを使った表情付け(目パチは0:12~5:18まで)

上記の動画説明からだと、ソフトウェアの「仕様」に近いですね…。

キーフレームを使ったアニメーションで目パチをしている(と思う)から、リミテッドアニメーションには入らない中目(ジト目)も入ってしまいます…。

2Dアニメーションの知識があれば、3DモデルやLive2Dでも自然な目パチができるハズ(だと思う)!

Live2Dは目パチ時、瞳部分を閉目から開目に動かしたら自然に見えるかも…。

実例①:目パチ・口パク (side-Animation:外部リンク)


口パク

キャラクターの「セリフ」に合わせて口が変わるアクションを「口パク」と呼びます。

原画担当者は開口と閉口を描きますが、セリフに合わせて動きを作るのは(基本的に)動画担当者の仕事です。

口パクの注意点

口パクも簡単な動画内容ですが、注意しなければならないポイントがあります。

歯・上あご(上唇)の関係

歯と上アゴは頭蓋骨に固定されているので、口パクで動くのは「下アゴ」のみ動きます。

つまり…上アゴ(上唇)部分の「中口を描く」時は、「閉口」に寄りにツメて描くと自然な口パクになると思いますね(業界標準)。

上あご(上唇)の図解

歯が付いている場合

開口の原画に歯が描かれている場合は、「歯」を動かさずに、同トレスや引き写しをしましょう。

固定されているので、歯の比率や大きさも変わりません(歯を動かしてしまうと、入れ歯がズレている印象を与えてしまいます)。

動かない上アゴ(上唇)を意識して中割をすると、良い「口パク」になります。

同じ歯を同トレスにて作画しています

両アゴに歯が描かれているキャラクター(スポーツ系やリアル系に多い)は、「噛み合わせ」と歯の大きさに注意して大きく違和感の出ない比率(大きさ)で描くと良いでしょう。

重要なポイント!は個性のあるキャラクターらしい演出…「らしさ」です。(キャラっぽさが最重要‼)

セリフ時の諸注意

キャラクターを喋らせる時は、セリフ前後は必ず閉口にしましょう(演出の指示が入っている場合は、その指示に従って下さい)。

母音との関係

タイムシートのセリフ尺にあわせて基本的に

「①閉口( とじくち:原画)」

「2中口( なかくち:動画)」

「③開口( ひらきくち:原画)」の

三枚で創作していきますが、シートに表記する上での基本となるのはセリフの「母音( ぼいん)」です。

①閉口:「い行( いの段)」「ん」

2中口:「う行(うの段)」「お行(おの段)」

③開口:「「あ行( あの段)」「え行( えの段)」
口パクと母音(あくまでも一例です)

日本語の母音は「あ行( あの段)」~「お行( おの段)」の5種と、特殊な発音「ん」の1 段を合わせた6 種を「閉口」「中口」「開口」へ割り振ります。

①閉口:「い行( いの段)」「ん」

2中口:「う行(うの段)」「お行(おの段)」

③開口:「あ行( あの段)」「え行( えの段)」

レアケースですが…
最近は母音ごとの口を揃える事もあるようです…💦

基本的には3種類のパターンがあれば、十分に喋らせる
事ができますよ!

ランダム打ちの推奨

同じ母音が続く言葉や、言葉の種類によっては…タイムシート上だと同じセル番号を続けて表記すると、口が動いていない…口をパクパクしているマヌケな姿に見えてしまいます。

この場合には必ず!違うセル番号を表記する様にして下さい。

アナログアニメ時代の頃は、文字の母音に合わせて
口パクをするのが主流でしたが…
現代ではどのセリフでも当てはめる事ができる
「ランダム打ち」が主流となっているみたいですね。

注1

動画が2、2、③と続く場合は…2、③、2(①)とセルの打ち方に変化を付ける様にしましょう。

注2

音に関係なく割り振るテクニックとして

③、2、③、①、③、2、③、2、③、①、③、2、③…

の様に、常に変化させるのもポイント!です。

⚠:ヒントは③、2、③を一組で繋ぎ目に①を入れるコトで動かすダケのカンタンセリフ作成❤

クリックして拡大

セリフは1秒間に8文字

セリフは3コマ打ちで指定しますので、1秒(24コマ)間に8文字入ります。

※「きゃ」などの拗音(ようおん)は、1文字発音として計算しましょう。

再生動画

音声を合成した、口パク動画です(音声が出ます!)。

音声はVOICEVOXを使用しています。

横顔の口パク

横顔の口パクについては、下記リンク先に書いてます。

おまけ:カブセせりふ

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アニメーションの指示には、閉口だけ顔に描かれている事があります。それが「カブセせりふ」です。

中割り方法は、通常の口パクと同じです。

制作費のコストダウンの為に、閉口を顔のセルに描き込む事です。

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どこがコストダウン?

アナログ時代のアニメは…1話に於ける枚数制限(TVアニメの動画枚数)があり、枚数オーバーすると制作側から干されてしまう事がしばしばあったようです…。

極端に言えば…閉口のセルをキャラクターの顔に描き込むだけでも、600枚のセルを節約できる様です…。

引用:アニメでの口パク作画の基本は「123」それとも「×12」?(外部リンク)

こればかりは作打(作画打ち合わせ)の際に、演出さんに「枚数制限の有無」なども聞いておくと良いかも知れませんね…。

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